方南町ストーリー
御菓子司 大和や
御菓子司 大和や
「四季の味わいを感じて」
「和菓子を通じて 季節のものを知って欲しい」
「柏餅はないですか?」と若い人から季節外れに聞かれたことがある。
今は、季節を問わず手に入ることもあるが、この店では季節に合わせた 商品を中心に販売している。 「おはぎ」はお彼岸の時期にしか店頭に並べないというのも、専門店な らではのこだわりだ。
そう語ってくれたのは、1939年創業の【御菓子司 大和や】の三代目にあたる川上さん。 方南町に生まれ育ち、一度は他の地に引っ越しをしたそうだが、数年後に戻ってきた。戻ってきた理由のひとつは「方南町が好きだから」。
中央通り商店街を中心に、お弁当屋さん、お寿司屋さん、焼き鳥屋さんの店先を見て回るのが密かな楽しみだという。
店頭で微笑む川上さん。
お菓子屋さんなのに「ラーメン」を売った時代
創業した頃は、川上さんの祖父母が二人でお店を切り盛りしていた。 和菓子屋としてスタートしたものの、戦後のモノのない時代には、喫茶店だったこともある。
その当時は、かき氷やアイスキャンディ、ラーメンなども販売していた。お菓子屋さんでありながら、手に入るものを形に変えて販売していた。
2代目の両親の時代には、家族以外にも和菓子職人がいたが、現在、お店を支える菓子職人は、3代目となる弟さん一人だけだ。20代の初め頃から職人として修業を積み、17年ほどになる。お店は、弟さん、お姉さんの貴久子さん、お母さんの家族が中心だが、パートの人も地元の小学校・中学校出身。大和やには「方南町出身者」がそろっている。
常連さんに支えられて
お店は、古くからの常連客が中心。週に一度「お赤飯」を買い求める人や、週に何度か「どら焼き」を買い求める人がいる。ところが、どら焼きは、亡くなった奥様へのお供えのためで、ご本人は甘いものが苦手だそうだ。
お店の人気商品は、大福や団子などの「餅菓子」。
お餅はすべて、店内でついている。使うもち米は、宮城県産の一番ランクの高い品種を使い、あずきも北海道産の大納言などが中心で、素材にこだわっている。
団子は、みたらししょうゆが香ばしい「焼きだんご」と、北海道のこだわりの小豆から作った「あんだんご」がある。
その他にも、お饅頭やようかん、どらやき、お赤飯や最中、練りきりなどの商品がショーケースに並ぶ。贈答品のお菓子やお煎餅なども含めると店内には色鮮やかな商品がたくさんあり、見ていて飽きない。
ある雑誌で和菓子銘菓100選に選ばれた「くるみゆべし」は、隠れファンが多い逸品だ。
大和やの「くるみゆべし」は、外側に寒梅粉を使っているのが特徴。 試しに、一口食べてみたが、想像以上に柔らかく、口の中でとけるような感じだった。
亥の子餅で無病息災
おすすめの商品は、季節の和菓子。
取材した11月初旬は、栗蒸しようかんや、亥の子餅がそれだ。 亥の子餅とは、亥の月(旧暦10月)の亥の日の亥の刻(午後10時頃)に無病息災を願って食べるお菓子だという。ゴマと求肥を使用した透明な皮であんこを包んでおり、名前の通り「イノシシの子」の形を模したかわいいお菓子だ。
大和やの季節の和菓子たち。
和菓子たちと会話して
店は、方南町の西口(1番出口)を出て環七の交差点を渡った目と鼻の先。道路に面していて、外側からもお店の中がよく見える。
近くを通ったら、ぜひ覗いてみてほしい。わくわくカードの加盟店でもあるので、お買い物でポイント加算もできる。
大和やの商品は、季節によって、少しずつ変化があるのが特徴だ。
季節によって、オススメ商品が異なるので、店頭で「今日のオススメは何ですか」と聞いてみるのも楽しい。和菓子たちとの会話を通じて、 季節を感じてみてほしい。
また、お店には方南町出身者がそろっているので、隠れた町情報が得られるかもしれない。方南町でお買い物する楽しみがまたひとつ増えることになるだろう。
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